セキュリティ人材の雇用・育成が、安定経営のカギ?
コロナ禍ということもありテレワーク、Web会議、Webワークフローなど新しい働き方に対するITをより身近に感じられるようになりました。また世の中ではDXの推進が急速に行われつつあります。 それに伴って、急激なIT環境の変化にも追従できるIT人材を求める声がそこかしこであがるようになっています。そしてIT業界の急拡大による需要の高まり、IT人材の引退、少子化なども影響し、年々人材確保が困難になりつつあり、経済産業省の発表した試算によると、2030年には最大で79万人のIT人材が不足すると予測されています。
また、IT人材と言っても、多くの分野に分かれており、企業ごとでも雇用したい人材は異なるかと思います。ソフトウェア開発・改修、コンサルティング、情報処理、AI,ビッグデータ活用などIT人材が活躍する分野は様々ありますが、そのような中でも、今回注目するのはセキュリティ人材についてです。
総務省のデータからもわかるように、セキュリティ人材は慢性的に不足しています。そして、新型コロナの影響による急激なビジネスシーンの変化により、それらに伴うセキュリティ対策も急務となっているにもかかわらず、多くの企業がセキュリティ対策の専任者が不在、兼任という形を取っており、十分な対策が取れていないという現状があります。
しかしながら、そのような状況は一刻も早く改善していく必要があります。当たり前のことですが、実際にインシデントが起こってからでは遅いからです。巧妙化、複雑化するサイバー攻撃に対応するためには、セキュリティポリシーの整備・徹底、ハード面、ソフト面におけるセキュリティリスクの評価・分析・対策を行い、インシデント発生時の対応・指揮などやるべきことは多岐に渡ります。仮に担当者が1人だった場合、それらの対策が十分であるかの評価を、自らが担い、加えて将来の担い手不足に苦慮する事態を招くこととなるためです。これらの問題を解決するためには、会社として、組織としてセキュリティ対策に取り組み、積極的なセキュリティ人材の雇用や育成に乗り出す必要があるのではないでしょうか。
「セキュリティは費用対効果が見えにくいし、周りの会社がやっている程度に対策しておけばよい」「対策をしても売上が上がるわけではないからセキュリティ対策“コスト”は最小限にしている」という声を耳にすることがあります。実際、製造業であれば、製造機器を購入し製造ラインを増やすことで売上があがるでしょう。これは需要が伸びることを予測するまたは実際に需要が伸びている状況に対しての投資となります。また新卒や転職者を採用することも、事業規模を拡大することや、事業を継続し続ける上で必要な投資と考えられます。投資という観点でみると、セキュリティの効果を実感する機会は多くないのかもしれませんが、実際は事業拡大や生産性向上を戦略として掲げる上で、IT投資が必要となり続けていく現在、安定した事業を継続していく上で、セキュリティ対策やセキュリティ人材の育成は必要な投資と言えるのではないでしょうか。
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